山陰広告協会 | 山陰広告賞
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山陰広告賞2024
受賞作品

 
島根県立美術館 作品展示

3月13日|水|~3月18日|月|

10:00 ~ 16:00 ※最終日は15:00

【講 評】
山陰広告賞 審査委員長
日下慶太

 
今回は作品の応募数が最多でした。人口、景気など、社会の数字が小さくなって行く中でこれはとてもうれしいことです。応募してくださったみなさんありがとうございます。
 
ぼくが審査をしてから今回が一番グランプリに迷いました。頭一つ飛び抜けたものがなかったのが今回かもしれません。
 
おもしろかったのは大森、益田、隠岐、出雲、鳥取、松江…それぞれの土地のクリエイターが「おらが村のデザイナー」とばかりに個性を出していたことです。これは山陰広告賞ならではですね。「地域をデザインでよくしていく」という山陰の未来を感じました。
 
今までずっと思ってきたことではあるのですが、今回改めて気になったこと。それは「言葉の不在」です。

山陰のデザインのクオリティは高い。それは間違いない。そして、美しい写真や映像を撮ることができる。ただ、言葉が弱い。

例えば、美しい映像がずっと続き、最後にいいコピーが1本入るとより深く印象に残るのだけれども、そういった言葉がない。もしくは、無難な言葉で終わっている。「言葉でなんとかしてやろう」という挑戦が少ない。もちろん、山陰はデザイナーの人がほとんどで、コピーライティングもデザイナーが担当しているというローカルのクリエイティブ事情はわかります。山陰以外でも都市部以外はどこもこの問題を抱えています。言葉の専門的な勉強は受けていない人がほとんどでしょう。ただ、挑戦はしてほしいのです。
 
人は視覚の方が情報を多くキャッチするけれども、脳のメモリに保存しておくのは視覚ではなく言葉なのですね。つまり、言葉で覚えておく。そして、人に伝えるときも言葉で伝える。だから、、言葉は大いに使わなくてはならないのです。

山陰の人が言葉が苦手かというとそうでもない。言葉しか使えないラジオCMはいつもクオリティが高いし、海士町から出品される作品にはいつも言葉があります。

というわけで、次からは言葉のチャレンジをしていきましょう。言葉でチャレンジしていて、それがうまくいっていなかったとしても、ぼくはそのチャレンジを評価したいと思います。山陰のクリエイティブがさらにその先に行くには言葉が必要ですから。


【山陰広告賞グランプリ】

 

 
 
 
 
 
 
島根スサノオマジック2023-24 seasonal creative
 
広告主=(株)バンダイナムコ島根スサノオマジック
制作者(社)=(株)Birdman/(株)あしたの為のDesign
 

東京開催告知の派手なビジュアルから、選手それぞれのビジュアル、ユニフォームのデザイン、日本語と英語のフォント選びと地味なものまで、すべてにアートディレクションが行き届いていました。スポーツのクリエイティブ制作は、選手の撮影時間も限られる、悪い意味でフォーマット化されているのですが、その制約の中で少しでも何か工夫できる箇所があれば何かやってやろうという意志を感じました。その労力と意志はグランプリにふさわしかった。
 

 


【山陰広告賞準グランプリ】


あなたはきっと、想い出す
 
広告主=島根県立大学
制作社=(株)エフエム山陰
 

田舎である、不便であるということに真っ向から立ち向かっている。リアリティのあるセリフがすばらしい。審査後に教えてもらったのですが、これは大学生と一緒に作ったとのこと。どうりで言葉が自然でよかったのか。学生とつくるとクオリティは下がることも多いのですがよい作品にしあげているのはさすがにプロの技。

 


【地方創生賞】

 
 
 
 
AMAFES2023ポスター
 
広告主=アマフェス実行委員会
制作社=ミナミデザイン
 

高校生がやるのって「地域をよくするアイデアコンテスト」だったりと社会性が強いものが多い。かくいう私も高校生と地元の商店街のポスターとかつくってきました。でも、高校生の本当にやりたいことってこんなフェスかもしれないなって思ったんですよね。高校生の本気さを出したポスターもいい。デザインしすぎず高校生の情熱が伝わるのがポイント。
 

 
 
 

 


【新人賞】

野津満梨絵
(松陽デザインラボ)

 
えまみくじ、松江のモダニズムと金賞作品に野津さんの名前がありました。これらはデザインのクオリティが高く、点数も多い。デザイナーの野津さんの力があったからだとおもいます。あ、次回から山陰広告賞の募集ポスターは新人賞受賞の方に作っていただこうということになりまして、野津さん、何卒よろしくお願いします。

 


【クリエイター特別賞】

 
6B

 

大森の町をデザインでよくするぞという気概を強く感じました。大森の古い街並みに6Bさんのつくりだすものがあっているんですよね。出品数も多くどれもレベルが高かった。大森が石見銀山とデザインの町になりそうな予感!?

 


【写真賞】

 

 
書籍『余白の中で。』・ポスター
 
広告主=飯南町
制作社=ハーベスト出版/(株)谷口印刷/(株)あしたの為のDesign/sog(株)/(株)MYTURN 港の編集室
 

冊子の一枚一枚の写真がすばらしい。「余白の中で」という冊子のテーマにあった「余白ある」写真です。
 
 


 

 

 
 
 
 
 
 
 
お客様と共に歩んだ65年
一畑百貨店パネル・取材映像展
 
広告主=(株)一畑百貨店
制作社=TSKエンタープライズDC(株)
 

動画ですが動く記録写真としての価値がありました。各テレビ局が垣根を越えて動画を紡いでいたことが、一畑百貨店の大切さを伝えていました。

 
 

 

部門賞

 
 

新聞・雑誌

 
金賞

 

島根県定住促進企画
山陰中央新報ラッピング紙面
「しまねの暮らし、実際どうですか?」
 

広告主=島根県政策企画局広聴広報課
制作社(者)=(株)山陰中央新報社
 
まずは見開きの写真がよくて、モデルさんかなと思ったら、実際の人で、その人を紐解く丁寧なインタビュー記事がある。丁寧さとキャッチーさが同居したよい作品です。

 
銀賞

 

4U35 SHIMANE 2024
 

広告主=協賛各社
制作社(者)=(株)山陰中央新報社(有)パリティクラブ
 
昨年の複合に続き受賞。このシリーズはずっと言葉がいいんですね。山陰らしからぬ暑苦しいコピー。そのスピリットが、キャッチコピーだけじゃなくて、各人のインタビューにも反映されている。


テレビCM

 
金賞

 

サンコンイメージ篇
 

広告主=サン電子工業(株)
制作社(者)=(株)明宣社 山陰営業所
 
最初のやりとりで掴まれました。そのやりとりのツッコミの仕方はいろいろとあったと思うのですが、ぼくはもっとやりとりが続いて最後は暴力的にツッコミだけみたいなのをみてみたかったのですが、まあ、それはさておき、商品名はしっかりと覚えました。

 
銀賞

 

アルファ―食品ブランディングCM
 

広告主=アルファ―食品(株)
制作社(者)=TSKエンタープライズDC(株)
 
普通のCMになってしまいそうなところをオリジナル音楽、映像効果、衣装選びなどで工夫して、印象に残るつくりにしています。


ラジオCM

 
金賞

 
「交通安全」
 

広告主=(株)エフエム山陰
制作社(者)=(株)エフエム山陰
 
今、話題のあおり運転のことを言っているのかなと思ったら見事に裏切られましたね。これぞ、ラジオ広告。

 
銀賞

 
「優しい一歩を踏み出そう」
 

広告主=(株)エフエム山陰
制作社(者)=(株)エフエム山陰
 
当事者の語りかけることばにとてもリアリティがあったのと、それぞれの表現がとてもわかりやすく想像しやすく、自分もやさしい一歩を踏み出そうと思いました。


ポスター・アーバンアド

 
金賞

 

大森さくら保育園
飛び出し坊や

おおもり児童クラブ渡辺家
飛び出し坊や
 

広告主=(社福)石見銀山つむぐひび
制作社(者)=6B
 
ああ、そうか、ここにデザインの領域があったのかとおもってしまいました。こんなかわいい看板あったら思わず止まってしまいます。

 
銀賞

 

日本遺産 麒麟獅子舞
ラッピングタクシー制作 &
PR施策及び
麒麟獅子舞フェスタPR
 

広告主=鳥取市文化交流課
制作社(者)=(株)シセイ堂デザイン
 
次はどんな手でくるんだといつも楽しみな麒麟シリーズ。これだけ麒麟が走ったら街も盛り上がりますよね。


パンフレット

 

 
金賞

 

書籍『余白の中で。』・ポスター
 

広告主=飯南町
制作社(者)=ハーベスト出版/(株)谷口印刷/(株)あしたの為のDesign/sog(株)/(株)MYTURN 港の編集室
 
無料じゃなくて1100円で売っている。その姿勢が素晴らしい。売るぐらいだから変なものつくれないですよね。無料で誰も見ないものをつくるんだったら、ハイクオリティで値付けしたらいい。新しいローカルパンフレットの姿を提示してくれています。

 
銀賞

 

奥出雲の棚田の秘密
 

広告主=奥出雲町農業遺産推進協議会
制作社(者)=アエラ地域文化デザイン室
 
マンガのパンフレットって、ただマンガにしてわかりやすくしてるだけやん!ってのが多いんですが、そこに物語やユニークなキャラクターがいて物語に引き込まれていきます。ぼくも棚田の秘密を知ってしまいました。


SP

 

 
金賞

 

バス運転士募集
 

広告主=松江市交通局
制作社(者)=松陽デザインラボ
 
だいたい運転士募集というと、おっちゃんが出てきたりというものなんですが、ディック・ブルーナーのようなかわいいヴィジュアル。これなら女性も募集しますね。

 
銀賞

 

SANBE Botanicals
 

広告主=(株)necco
制作社(者)=6B
 
写真とデザインの美しさはもちろんなんですが、商品自体もおもしろく。外来種とし嫌われているセイタカアワダチソウを商品化するそのアイデアにも賞を。


パッケージ・プロダクト

 

 
金賞

 

お月見キット
 

広告主=(株)永江製粉
制作社(者)=(株)吉田写真堂
 
レベルの高かったこの部門ですが「消費者に商品とパッケージまでつくってもらう」というこの作品が一つ頭が抜けていました。人の行動をデザインしていると言えますね。
 

 
銀賞

 

クロモジ焼酎
HIKIMI Molisch 25° 40°
 

広告主=(株)葵屋
制作社(者)=(株)益田工房/(株)葵屋
 
かわいいんだけど、硬派というアンビバレントなデザイン。シンプルだけど丁寧で、手触りのある外箱もよかった。


デザイン

 

 
金賞

 

IZUMO TRICO
ブランディングデザイン
 

広告主=『出雲STYLE』ブランド開発グループ
制作社(者)=(株)SAIDO
 
ネーミングがよく、その言葉に合わせたデザインの展開もすばらしい。ヴィジュアルと言葉、この2つがうまくデザインされたものは今までみてこなかったなあ。よいです。

 
銀賞

 

松江のモダニズム建築群
スタンプラリー
 

広告主=島根県総務部管財課・営繕課
制作社(者)=松陽デザインラボ
 
モダニズム建築だからと、ツールをモダニズムデザインで徹底して紹介している。その心意気と作者が楽しくやっている感じも伝わってきてよかったです。


動画

 

 
金賞

 

人口600人の島の挑戦
 

広告主=協同組合YADDO知夫里島
制作社(者)=中村組
 
だいたいの動画が美しい風景を紹介で終わる中で、これはそれは当然として、そこにストーリーを入れたり、村長をすごい形で登場させたりと工夫に溢れているんですね。素晴らしいです。

 
銀賞

 

鍛月「丁寧な暮らし」
 

広告主=鍛冶工房 弘光
制作社(者)=スタジオフォトワークス
 
丁寧な暮らしを丁寧に撮っていました。ぼくもこれが欲しくはなりました。最初から最後まで言葉がないのも潔くてよかったのですが、最後にコピーは欲しかったなとコピーライターのぼくは思いました。


インタラクティブ

 

 
金賞

 

永田コレクションの全貌公開
<一章>北斎 特設サイト

 
広告主=島根県立美術館/SPSしまね
制作社(者)=松陽デザインラボ
 
北斎のことをとてもよくわかって勉強できる 美術のサイトってこうあるべき!いろんな美術館がお手本にしてほしい。

 
銀賞

 

Working in the Woods
 

広告主=(公社)島根県林業公社
制作社(者)=(株)noto/(合)SHiM/ONE DAY
 
ひとつひとつの動画が丁寧に作られている。しかも数も多い。ただ、それぞれの動画が長かった。興味がある人は長い動画もきちんと見ると思うのですが、興味がない人を振り向かせるような、いいコメントのダイジェスト動画が1つあってもよかったかな。


イノベーション

 

 
金賞

 

えまみくじ

 
広告主=(公財)島根県観光連盟
制作社(者)=松陽デザインラボ
 
「ご縁の聖地」キャンペーン、こうきたか。広告キャンペーンの企画としては斬新。さすが神様の国です。デザインの点数も多いのですが、クオリティが高く、反響も多かったのもよかったです。

 
銀賞

 

出雲市オリジナル婚姻届
「出雲婚」
 

広告主=出雲市総合政策部縁結び定住課
制作社(者)=(株)あしたの為のDesign
 
さすがご縁の聖地だけに、ご縁の結晶である婚姻届はこれぐらいしていいですよね。出雲にUターンしちゃいたくなりそうな、出雲で結婚したいなと思わせる逸品です。私も出雲で結婚したい、既婚ですが。


複合

 

 
金賞

 

田部竹下酒造

 
広告主=(株)田部竹下酒造
制作社(者)=松陽デザインラボ
 
ラベル、サイト、映像、のぼり、法被と、多様な領域まできちんと染み渡るクリエイティブ。ひとつ欲を言えば、よいビジュアルに拮抗するよい言葉があればグランプリ候補になったかなあと思います。
 

 
 

 
銀賞

 

島根県知事選挙及び
島根県議会議員一般選挙
投票啓発事業
 

広告主=島根県選挙管理委員会
制作社(者)=(株)メディアスコープ
 
ついつい言葉をおぼえてしまいますね。あと、それぞれのキャラの会話もおもしろかったです。会話ものって難しいんですけど、上手に仕上げてます。

 

 
 
◎作品展示

2024年
3月13日|水|~3月18日|月|

10:00 ~ 16:00 ※最終日は15:00

島根県立美術館

松江市袖師町1-5 ギャラリー
TEL(0852)55 - 4700
 
 
出品者の方の搬出は
2024年 3月19日|火|
10:00 ~ 12:00(時間厳守)
※島根県立美術館
 
 
表彰式・講評会
山陰広告協会定時総会懇親会席上(2024年6月開催予定)

 
 

 
 

審査委員長

 
 
 コピーライター・写真家
日下慶太 氏 
 Keita Kusaka
 

1976年大阪生まれ大阪在住。コピーライターとして働きながら写真家、UFOを呼ぶためのバンド「エンバーン」のリーダーとしても活動中。
商店街のユニークなポスターを制作し町おこしにつなげる「商店街ポスター展」の仕掛け人。2021年に20年間勤めていた電通を辞めてフリーに。著作に自伝的エッセイ『迷子のコピーライター』(イーストプレス)、写真集『隙ある風景』(私家版)。佐治敬三賞、グッドデザイン賞、TCC最高新人賞、KYOTOGRAPHY DELTA Awards、造本装幀コンクール日本印刷業連合会会長賞ほか受賞多数。 
 
 


 
 


 
 
主催:山陰広告協会
協賛:山陰中央新報社、BSS山陰放送、TSKさんいん中央テレビ、日本海テレビジョン放送、エフエム山陰
後援:島根県、鳥取県、松江市、米子市、松江商工会議所、出雲商工会議所、安来商工会議所、米子商工会議所、境港商工会議所、鳥取商工会議所、島根県商工会議所連合会、鳥取県商工会議所連合会、NHK松江放送局、NHK鳥取放送局、朝日新聞松江総局、読売新聞松江支局、毎日新聞松江支局、日本経済新聞社松江支局、産経新聞社、中国新聞社
協力:山陰広告協会会員各社
 
 


 
 

山陰広告賞について

 
広告文化・技術の向上と地域振興を図ることを目的に「島根広告協会」が、1977年「島根広告コンクール」を開催したのが「山陰広告賞」の始まりです。
1983年に広告技術の一層の振興を目指して電通から審査委員長をお招きし、名称も「島根広告賞」へ変更。さらに2019年には「山陰広告協会」へ改称し、山陰両県を対象とした「山陰広告賞」として実施することになりました。
毎年、その前年1年間に山陰で制作された広告を集め、その中から優れた作品を表彰し、一般にも展示いたします。